「幸腹グラフィティ」7巻。
2016年 10月 02日 (日) 08:50 | 編集
では、先月末発売のKRコミックスの中からこの作品。川井マコト先生「幸腹グラフィティ」7巻の感想っぽい何か、行ってみるとしましょうか。

この幸腹グラフィティ、きららミラクの先月号まで連載されていました。つまりこの7巻が最新刊にして最終巻と言うことになります。それにしても7巻…きららミラクの作品としてここまで巻数たくさん出た作品は初と言うことになりますね。


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7巻の表紙はリョウちゃんを真ん中にきりんちゃんと椎名さん。やはり最終巻の表紙はこの3人、メインのこの3人で決まりですね。笑顔の3人の手には「おにぎり」。

このおにぎりは3人の絆と言っても良い食べ物なんですよね。その辺りはこの7巻の最後の方、合格発表の後の話でも触れられていますね。


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裏表紙には3人以外の準レギュラー陣の登場人物たち。明さんや内木姉妹、露子さんにそして3人のお母さん。3人を支えてくれる周りの大人たちですね。

この裏表紙を見ていて改めて気付いたのですがこの作品って、メインの3人以外に出てくる登場人物って皆「大人」なんですよね。そこが他のきらら系作品とは大きく違うところ。

他のきらら系作品はメインのキャラが学生ならばそれに関わりのある登場人物たちも同じ学生と言う場合がほとんど。でもこの作品は違うんですよね。

確かにメイン3人以外にも学生は登場するけど、でも名前のある準レギュラーとも呼べる登場人物たちは皆大人。メインとなる子供たちに、彼女らを支える周りの大人。その構図が独特ですよね。


あと、今回の7巻の表紙。表も裏も桜の花が散りばめられています。これは物語の最後、大学に無事合格したリョウちゃん達の春を祝ってと言うことなのでしょう。


さて、この7巻ですが、話はいよいよクライマックス。リョウちゃん達3人の受験に向けて話は進んでいきます。でも話のメインとなるのは受験そのものよりも、それに向かっていく3人の心の色々な葛藤、そして3人の関係性と言ったところでしょうか。

リョウちゃんの元に来春、両親が帰ってこれることが分かって、それを素直に喜ぶべきなんだけれどなんだかもやもやしてしまうきりんちゃんや椎名さん…そのもやもやを始めに彼女たちの色々な葛藤が描き出されていきます。

きりんちゃんは受験の後、大学へはリョウちゃんの家から通うつもりだったのだけど、でも家を出て一人暮らしすべきなのかと悩み、椎名さんはリョウちゃんときりんちゃん2人の仲にはどうやっても入れない、そんな嫉妬にも似た想いを今までずっと抱えてきて、でもそれを打ち明けて…。


そんなことがあってか3人の仲もどこかギクシャクして…だけどそこを後押ししてあげるのがやっぱり周りを支える大人達、なんですよね。3人の仲を元に戻してあげたのは内木ユキ先生でした。

思えば初登場の時からずっとおどおどビクビクして頼りなさげな雰囲気だったユキさん。だけど前巻ではずっと上手くいってなかった妹のアキさんともちょっと打ち解けることが出来て、そして今巻ではリョウちゃん達の仲を戻して受験に向けて後押しをしてあげて…。

何気に内木ユキさんってキャラクターも、登場時に比べてすごく成長したんですよね。リョウちゃん達メインの3人が心身共に成長していってるのは勿論、それを支える周りの大人達も皆、それぞれに前へと歩んでいるんです。


そう言えばきりんちゃんの一人暮らしを後押ししたのはユキさんの妹、アキさんでした。まあやり方は結構荒っぽいと言うか…ですが、この包み隠さなさがアキさんの本質にして魅力と言えます。

この7巻、何気に3人を後押しする役割として内木姉妹が活躍している巻とも言えるかもしれません。


そして受験当日、きりんちゃん・リョウちゃんへはそれぞれお母さんから手作りのお弁当と言う、何よりも嬉しいプレゼント。

とりわけリョウちゃんのお母さんはこれまで娘に対して何もしてやれなかったと言う想いがあったから、だからこそ最後に何かしたかったと言う気持ちが強かったのだと思います。

幸腹グラフィティと言えば人のつながり、特に親子のつながりをしっかり描いていた作品と言う印象がありましたが、やはり最終巻においても、とても大事な場面でそういったエピソードを入れてきたなぁと言う感じですね。


受験が終わって合格発表後…最後の3話の流れは緩急が見事だったと思います。

合格発表後、ラストから3話目の話では3人だけの繋がりと言うものを深く描き出しています。3人の絆を表すおにぎりと涙…3人の前途は勿論希望に満ちているハズなんだけれど、でもこれからは別々の道を歩んでいく。それが読者にも、そして3人にもハッキリと示された回でした。

ラストから2話目は皆で集まって卒業祝いの話。周りの大人たちも集まっての全員集合の回となりました。一見賑やかなパーティ回なのですが、リョウちゃんの心の変化をしっかりと描いた話でもあるんですよね。

今までの彼女だったら一人で新しい暮らしを始めると言うことに対して不安と怖さで踏み出せなかったかもしれなかった。だけど彼女はもう一人じゃない…それが分かったから、踏み出すことが出来たんです。


そして最終話。最終話は前半後半と分かれた構成で前半部分は亡きおばあちゃんとリョウちゃんとの話。リョウちゃんが最終的におばあちゃん(の写真)を連れていくことに決めたのが良いですね。やはりおばあちゃんはいつまでもリョウちゃんの側にいて欲しいと思います。

それを後押しした明さんも素敵。思えば明さんって、第一話からずっと登場している、ある意味ではリョウちゃんにとって最も身近な大人なんですよね。お酒大好きでいい加減なところもあるけれど、でも時として親代わりにもなってくれた、リョウちゃんにとって最も頼れる人なんじゃないかなと思います。

最終話後半は引っ越した先での話。近所のスーパーに行ってみたリョウちゃんはそこできりんちゃんと椎名さんと再会して…ああ、もうこの展開はずるいですよ…。

ラストから3話目の展開で3人の別れを示唆しておきながらこの流れ。本当にずるい。でもこれで良かったなぁ…と、つくづくそう思えるラストでした。やっぱりこの3人はいつまでもずっと一緒にいて笑っていて欲しいです。

あの「別れ」の話があったからこそ、余計に最後の3人の笑顔が引き立つ、そんなラストでした。


さて、この「幸腹グラフィティ」7巻、やはり今回もカラー特典を集めてきましたので以下に。

まず、まんが王倶楽部のイラストカード。

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絵柄は料理中のリョウちゃん。こうして見ると彼女、エプロン本当によく似合いますよね。このエプロンはやっぱり、おばあちゃんの割烹着を元に作り直したエプロンでしょうか。中学校卒業時にプレゼントされた、あのエプロンですね。

しかしなんと言うかエプロンしてるリョウちゃんって、新妻感と言うか若奥様感と言うか幼妻感と言うか、そういうのが凄いですね。まあもっとも彼女の旦那さんはきりんちゃんなんですがww


次にWonderGOOのポストカード。

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絵柄は椎名さん。彼女の手にはりんご飴…そう、椎名さんと言えばりんご飴は外せないエピソードの一つなんですよね。元々、彼女がきりんちゃんと初めて会った時に、なんとなく寂しそうに見えたきりんちゃんへ持ってきたりんご飴。

それがこの7巻では、やはりどこか寂しそうに見えた椎名さんへ、リョウちゃんが手渡すんです。この時の椎名さん、そして以前のきりんちゃん、その両方の心にあるのは同じ想いなんですよね。リョウちゃんへの思慕、そしてリョウちゃんと他の誰かが仲良くしていることへの少しの嫉妬心…。

考えてみれば作中内において、リョウちゃんと椎名さんが少し似ていると言うことはたまに言われてましたけど、内面的にはむしろ椎名さんときりんちゃんが近い面もあるのかもしれませんね。


続いてCOMIC ZINのイラストカード。

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絵柄はリョウちゃん一人、そして周りにはこれでもか!!と置かれた料理の数々。リョウちゃんのこのポーズからして、「おかえりなさい」と誰かをお迎えしている様な感じなんですが…。

いやこれ、迎えてる相手どう考えてもきりんちゃんでしょ。だって彼女以外にこれだけたくさん食べられそうな人っていない気がw


イラストカード類は以上ですね。続いてアニメイトの四コマしおり。

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大盛りの料理を差し出してくるリョウちゃん。だけどその瞳に涙が…?

4コマ目のオチで全てが分かりますが、まあなんと言うか…うん、いつものリョウちゃん&きりんちゃんらしいと言えばそうですねw


次にメロンブックスの小冊子。

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表には「卒業思い出ノート」と書かれていて、中身を見ると確かに思い出の一コマと言ったカットが載っているのですが、でも常に3人の手にはおにぎり…?

まあ、彼女たちにとっておにぎりは特別な食べ物ですからね。それはこの7巻内でも触れられている通りです。


今度はとらのあなのクリアファイル。

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絵柄は寝そべっている3人と言う構図。そしてそれぞれの手には食べ物。リョウちゃんがオムライス(オムレツ?)にハンバーグセット、きりんちゃんがカレーライス、椎名さんがチャーハンですね。

やっぱりこの3人は皆仲良く笑顔でいるのが一番よく似合います。そして、食べ物を持っている姿が一番よく似合いますw


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クリアファイル裏面は同絵柄の上半身アップとなっていますね。


最後に、ゲーマーズの架け替えブックカバー。

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表がリョウちゃん、裏がきりんちゃん。そして2人とも手には美味しそうな栗ご飯を。また、桜の花が散っていて、2人の頭には桜の髪飾りと言うのがいかにも「卒業」を思わせる雰囲気で良いですね。

しかし、栗は秋の食べ物で桜は春…まあこれは、現実の季節(秋)と作中最終回の季節(春)と両方とを考慮した結果、と言うことなのでしょう。

あと、カバーの折り返し部分にいる椎名さんがなかなか良い味を出しています。カメラマンの椎名さんが2人の写真を撮った…と言う感じでしょうかw


カラー特典に関してはこれで以上、多分全てコンプリートのハズですw


さて、この「幸腹グラフィティ」と言う作品。思えば川井マコト先生と言う作家さんはきららミラクで創刊号から「にじげんめのうた」と言う作品を連載されていたんですね。だけどその作品は面白くなってきたな…と言う頃に打ち切りなのか終わってしまって…とても残念に思ったのを覚えています。

だけど川井マコト先生はそこで終わらなかった。すぐにこの「幸腹グラフィティ」と言う作品を引っさげてミラクで新たに連載をスタートされたんですね。僕はこの作品、始まった初回の話からすぐに引き込まれてしまいました。

とにかく最初は、その「食」のシーンがインパクト大でした。やたらと描き込みの細かい表情のどアップで、時に大胆に時に色っぽく、時にコミカルに描き出される食事シーン。リョウちゃん達の表情もさることながら食味に関するセリフの表現も独特で…。

最初はともかくそのインパクトにとらわれて、ある意味キワモノ的な面白さで読んでいた部分もありました。しかしすぐに、この作品の本質はそこではなく、人と人との触れ合い、その「暖かさ」にあると気付かされます。

そう…暖かいんですよね。この作品は。リョウちゃん達3人の少女達のつながり。そして彼女たちを支える周りの大人たちとのつながり。時に悩み時に葛藤もする、たまには嫉妬めいた感情に囚われることもあって…そんなリョウちゃん達だけど、でも話が決して湿っぽくなり過ぎることはない。

登場人物達それぞれ、親子関係だとかにもちょっとずつ問題を抱えているんだけれど、でも話が進むうちにそれも次第に解消されていくんですよね。その根底には常に暖かさがありました。人のつながりの生み出す暖かさ、そして暖かい料理。

そんな暖かさで、読んでるこちらの気持ちもほっこりと優しくなれる、そんな作品でした。


アニメ化もされて、単行本が7巻まで出て…この作品は間違いなく、きららミラクと言う雑誌において一時代を築き上げた、ミラクを代表する作品の一つと言って良い作品だと思います。

川井マコト先生、本当にお疲れ様でした…そしてありがとうございました!!

幸腹グラフィティの話はこれでおしまいだけど、あとがきで川井先生自ら書かれている様にリョウちゃん達の新生活はまだまだ始まったばかり。きっとこれからも3人揃って仲良く、楽しい、そして美味しい日々を送っていくのでしょう。


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