「スローループ」1巻。
2019年 03月 16日 (土) 11:05 | 編集
では、今月12日に発売されたKRコミックスの中から「スローループ」1巻の感想記事、行ってみるとしましょうか。

この「スローループ」、かつてはきららミラクで「ななつ神オンリー!」を連載されていたうちのまいこ先生がきららフォワードで現在連載されている作品ですね。


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表紙には2人の美少女。左側の黒髪の子がひよりちゃん、右側の金髪サイドテールの子が小春ちゃん、彼女ら2人がこの作品の主人公ですね。

そしてひよりちゃんの手にはロッド(釣り竿)、小春ちゃんの手には釣り上げられたと思しきニジマスの姿…そう、そうなんです。この作品、きららにも珍しい「釣り漫画」なんです。

きらら系雑誌の作品はどれも「美少女と萌え」を中心にしながらも、作品によって実に様々な題材を取り上げていますが、でもきらら系で釣り作品と言うのは何気に初めてなのではないでしょうか。

それも、ただの釣りじゃあありません。釣りをかじった人なら見れば分かると思いますが、ひよりちゃんが持っているロッド、これフライフィッシングのロッドなんですよね。

釣り漫画と言うだけでもきららではマイナーなのに、更にそこでフライフィッシングを選んでくる辺りがうちのまいこ先生、マニアック過ぎる!!


ちなみにうちのまいこ先生と言えば、前作の「ななつ神オンリー!」でも釣り描写を描かれたことがあって、その時はフライフィッシングの道具なのにウキを使っていたもんだからてっきり僕は「これは間違いなのでは…」なんて思ったのですがとんでもない!! 間違えているのは僕の方でした…。

後で知ったのですが、フライフィッシングでもウキを使ったやり方があるんですよね…この時は自分の無知を恥じたと同時に、逆にうちのまいこ先生はガチの釣り好きだと認識したのでした。

そのうちのまいこ先生が描き出す釣り漫画、個人的にはまさにこういうのを待っていたと言う感じですよ。やっぱりウンチク系漫画は、その題材を本当に好きで詳しい人が描かないと。


裏表紙はこんな感じ。

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描かれているのはひよりちゃんの幼馴染みで釣り道具屋さんの娘、恋ちゃん。この釣り道具屋さんもフライフィッシング専門の釣具屋さんだったりと、やはりマニアック。


さて、この作品は上に書いた通り「釣り」、それもフライフィッシングを題材にした作品ですが、勿論きらら作品である以上、それだけではありません。むしろそれ以上にこの作品はガール・ミーツ・ガールの作品だと言って良いでしょう。

もともと、主人公のひよりちゃんがフライフィッシングをやる様になったのは、亡くなったお父さんの影響。1人、海でフライフィッシングに興じていた彼女ですが、その目の前にある日、(3月なのに)いきなりスク水姿で海に飛び込もうとする破天荒な少女が現れます。それが小春ちゃん。

そんな彼女が飛び込むのを必死で止めて、そして小春ちゃんの人懐っこい(と言うかグイグイ来る)性格もあってか、なんだかんだでいつの間にか打ち解けて話している2人。

ここまでなら、ガール・ミーツ・ガールでもよくある展開なのですが、更にこの作品はもう一捻りぶち込んできます。

ひよりちゃんはその日、夕方から母親の再婚相手と、その連れ子と食事に行く予定だった。それを小春ちゃんに話したところ、なんと彼女もそうだと言います。つまり…。

ええ、なんとひより&小春、お互いの親同士が再婚することになって、戸籍上は姉妹(同じ歳だけど)になって同居することに…という、きららのガール・ミーツ・ガール作品の中でも結構濃度の高いことをやってのけてます。

ここまでの怒涛の展開が全て第1話に入っています。色々なエピソードを一話の中に織り交ぜつつも話が全然破綻せずに綺麗にまとまっているのはうちのまいこ先生の作家さんとしての構成力の高さによるもの、なのでしょう。

そしてこの1話でもうつかみはバッチリ。釣りと言う珍しい題材に引かれた人も、そして勿論百合や女の子同士というキーワードに反応しちゃう層も、がっしりハート鷲掴みにされてしまったことでしょう。


そんなこの「スローループ」ですが、まず釣りに関して言えば結構マニアックな部分まで踏み込んできます。アワセなど釣りの基礎的な知識は勿論、フライの結び方や投げ方、果てはフライの種類に至るまで…。

でもそれを、きちんとわかりやすく描いてくれるので、釣りをやったこと無い人でも抵抗なく読めるのではないかな、と思います。ましてや釣りの中でもフライフィッシングなんて実際にやったことある人は少ないでしょうしね…それを分かりやすく描くのにも非常に苦心されたのではないかと思います。


釣りと言えば当然魚、なのですが、魚の描写もさすがにしっかりしています。メバルにしろイワナにしろ…釣り上げた魚をこれだけリアル、丁寧に描いたきらら作品は初なのではないでしょうか。

また、釣った魚を色々と料理して食べるシーンがあるのもポイント。メバルの漬け丼だったりニジマスのアクアパッツァだったり…何気にちょっとした料理漫画の要素もありますね。


そしてガール・ミーツ・ガールという部分で言えば、ひよりちゃんと小春ちゃんが出会って…というのは勿論なんだけど、小春ちゃんがひよりちゃんの幼馴染み恋ちゃんと出会って…というのもありますね。

恋ちゃんはずっとひよりちゃんの幼馴染みで小さい頃から仲良くしてきたのだけど、でもお父さんを失ったひよりちゃんに対して何も言えなかったことが引っかかっていて…だけどそれに対して小春ちゃんは何でも言えて踏み込めちゃう性格だから、それを羨ましくも思ったりして…。

「私、友達の資格ないんだ…」そう呟く恋ちゃんに対して「友達に資格なんているの?」そうあっけらかんと返してしまう小春ちゃん。この、何も考えてない位に思ったことをすっと言葉に出せてしまうのが小春ちゃんの魅力なんですよね。

そんな小春ちゃんの言葉に、恋ちゃんも救われたのではと思います。


また、この作品はガール・ミーツ・ガールの作品であると同時に、家族を扱った作品であるとも思います。ひよりちゃんがお父さんを亡くして…というのは冒頭に書きましたが、小春ちゃんの方も幼い頃にお母さんと弟を交通事故で失っているんですよね。

いつも明るく天真爛漫な小春ちゃんですが、人知れず心の底には悲しみを抱えているのかもしれません。言わばこの作品、家族を失った女の子同士が出会い、新たな家族となっていく話なんですよね。

新しい家族になったことで、ひより&小春の間には最初の出会いもあってか元々壁なんてほとんど無いんだけど、でもお互い、相手の親に対しては遠慮している部分もあったりで…その辺りも徐々に、お互いに打ち解けていく様子が描かれていくのかもしれません。

この辺りは恋ちゃんが2人に対して良いアドバイスをしていますね。曰く「親としてじゃなくて人として付き合ってみたら?」

恋ちゃん、まだ高校生だと言うのに随分達観しているなぁと思います。僕自身は高校生の頃にはそういう風には思えなかったですね。さすがに自分自身が大人になり、更に中年に差し掛かる様な年齢になってそう考えられる様にはなりましたが…。


主人公2人に「大切な家族を失った」と言う背景があるせいか、この作品、暖かいながらもどこか全体に漂う雰囲気がしんみりとしているんですよね。読んでてしんみり、しみじみと心に沁みる感じ。だけど決して暗くならないのはやはり、小春ちゃんの明るい性格のおかげかもしれません。


さて、そんな「スローループ」1巻ですが、特典を集めてきましたので以下に。

まずはアニメイトのミニ色紙。

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絵柄はひよりちゃん。手には花束(紫の百合?)を抱えています。また背景が水の中っぽいのがいかにもこの作品らしくて良いですね。


続いてゲーマーズのミニ色紙。

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こちらは小春ちゃん。ひよりちゃんとは逆向きで、こちらも手に花束を抱えています。ピンク色の…菊の仲間か何かでしょうか。

2人ともよく似た白いワンピースで手には花束を抱えて…いわばこの2枚の特典は対になっている、あるいは2枚で1セットだと言えますね。

それにしてもこうして見ると2人ともホント美少女…特に小春ちゃん。彼女は典型的な、黙っていれば美少女というタイプですよねw


次にとらのあなのイラストカード。

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こちらはひより&恋の2人組。2人とも清楚な雰囲気の白いワンピースに身を包んで…そして手と手をお互いに恋人握りにしているのが素晴らしい。幼馴染みならではの距離感の近さとかが伝わってきます。幼馴染み百合も良いぞ…。


それからCOMIC ZINのイラストカード。

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こちらは小春&恋の2人組。こちらはさすがに知り合って間が無いからか恋人握りとかそういうことにはなりませんが…でもお互いの表情がそれぞれの性格だとかをよく表しているなぁと感じます。

この2枚の特典はそれぞれ、主役2人のどちらか&恋ちゃんという組み合わせで、そして衣装も白いワンピース、水の中を思わせる背景…これまた、2枚で1セット的なイラストだと言えるでしょう。


最後に、メロンブックスの小冊子。

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表にはひよりちゃんが描かれています。手に持った漬け丼が美味しそう…!!

中身は4コマ漫画。これまたくすっと笑える、微笑ましく可愛らしい内容になっています。気になる人はぜひ自分の目で買って確かめてみましょう!!


そんな「スローループ」ですが、この1巻内でも管理釣り場だったり湖でキャンプしながらの釣りだったりと色々描いていたので、釣り漫画として2巻以降も様々な場所でフライフィッシングを繰り広げることを期待しています。

勿論、釣りに関するウンチクだとかを織り交ぜながら…。

それとガール・ミーツ・ガールの物語、そして家族の物語として、しみじみとしながらも暖かい話をこれからも紡ぎあげていってくれることを期待しています。

きららフォワードにおいて優しく暖かい物語、とりわけ家族愛だとかを描いた作品、癒し系の作品は貴重だと思いますし、これからも末永く続いていって欲しいですね。


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