「珈琲をしづかに」1巻。
2019年 10月 27日 (日) 08:02 | 編集
では、今月23日に発売されたコミックス、みやびあきの先生「珈琲をしづかに」1巻の感想記事、行ってみるとしましょうか。

この「珈琲をしずかに」、モーニング・ツーで連載中の作品ですね。モーニング・ツーなんて普段読んでいない雑誌…というか正直言うとその名前すら知らなかった雑誌ですが、ではそこに連載されているこの作品をなぜ買おうと思ったのか。

それはもう、みやびあきの先生の作品だから。これに尽きます。

みやびあきの先生と言えば、きららフォワードで連載されていた「なでしこドレミソラ」で初めて知ったのですが、もうとにかく「なでしこドレミソラ」大ハマリしてしまって…今でも一番大好きな漫画作品の一つです。

それからみやびあきの先生の作品が色々気になって、過去の連載作品のコミックスだったりコミケ等で配布された同人誌だったり…色々と読ませて頂きました。

みやびあきの先生が凄いと思うのは、描いた作品全て、まったくタイプの異なる作品なんですよね。デビュー作の「はぢがーる」はきららフォワードらしい甘酸っぱいラブコメ、「おにまん」は可愛らしくも暖かいお話。

そして先生の代表作とも言える「なでしこドレミソラ」は和楽器に青春をかける、少女たちのどこまでも美しい学園友情(一部百合)モノ…。

そういえば少し前に出た百合アンソロの「パルフェ」ではお姉さん吸血鬼と体の不自由な少女との百合を描かれていて、それがまたダークな雰囲気と暖かさとが同居していてなんとも深みのある作品で、ああこういうのも描かれるんだ…と色々驚愕した次第であります。


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さて、この「珈琲をしづかに」はまた、これまでの作品のどれとも異なる作風。

一言で言ってしまえば年上の喫茶店マスターの女性に一目惚れしてしまった男子高校生がその喫茶店に通い詰めるお話。と言っても単純に恋愛モノと簡単に一括には出来ない、深みのある作品だと思います。

そう、まるで珈琲の様に深みのある作品…一話一話が丁寧に淹れられた珈琲の様で、さっと読み飛ばすのではなくじっくりと、時間をかけて読みたくなる、そんな作品に仕上がっています。


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表紙に描かれている女性が、この作品のヒロイン。喫茶店「ユカリ」のマスターを務める紫都香さん。読み方は「しづか」なので、作品タイトルの「しづかに」は彼女の名前を掛けているのでしょう。

裏にはデフォルメされたしづかさんと、一人の少年。この少年がこの作品の主人公、貴樹くんですね。高校3年生で18歳という年齢の為か、それとも歳の割に背が低くて幼く見えることのコンプレックスからか、大人への憧れを抱いています。


貴樹くんの持つ「大人への憧れ」というのもこの作品の一つのテーマなのでしょう。それはしづかさんへの気持ちも恋心であると同時に年上の女性への憧れ的な部分もあるでしょうし、喫茶店の珈琲のほろ苦さ。12歳年上の兄に対しての憧れ…。

そんな貴樹くんの気持ちを読んでて、そういえば自分も子供の頃、大人に対しての憧れじゃないけれど色々な気持ちがあったなぁ…なんてことを思い出したりもしました。

思えば自分が子供の頃、周りの大人たちは本当に大人に見えましたし、自分自身が成人して会社勤めする様になってからは先輩や上司は本当に大きな存在に見えたけど…でも自分自身がいざその年齢になった今、何も変わっていないよなぁ…と自分で苦笑してしまうのが本当のところ。

大人ってなんだろう…難しいですねw


さて、この作品ですが、貴樹くんがふとしたキッカケからしづかさんの喫茶店「ユカリ」を訪れたところから話が始まります。そこでしづかさんに出会って…多分その瞬間、彼女に恋をしてしまったのでしょう。その表情・所作全てが大人びて感じられて…。

喫茶店の珈琲は一杯500円。高校生にとって決して安い値段ではないですが、ユカリに通うため、しづかさんに会う為に自らのおやつ代を節約したりする貴樹くんの姿がいじらしいです。

そんな貴樹くんのしづかさんへの恋心がこの作品のテーマではありますが、でも上に書いた通り、単純に恋愛モノとは言い切れない作品だと思います。


喫茶店には当然、貴樹くん以外に色々な人たちが訪れてくるわけで、皆それぞれの人生があるんですよね。そんな、喫茶店に訪れる人達の人生ドラマが描かれている作品だったりもします。

単に喫茶店が好きで訪れる人もいれば、この喫茶店に対して思い出があって、それでやって来る人もいるわけで…先立った夫の命日に訪れるという女性の話は本当にほろ苦くも深みのある、まさに珈琲の様なお話だと感じました。


この喫茶店の存在自体もまた、この作品の一つのテーマなのかな、と。元々この喫茶店、しづかさんがやっていたものではなく別のマスターがいたのが8年前に体調を崩して休業…それからしづかさんが再びお店を開ける様になったみたいですね。

でもマスターとしづかさんの関係だとか、なぜしづかさんがこの喫茶店を引き継ぐことになったのかとか、本当はしづかさんはこの喫茶店をどうしていきたいのだとか…その辺りがこの1巻の段階ではまだ色々とぼやかされていて謎なところ。

謎といえば、しづかさん自身の存在もかなりミステリアス。時折見せる寂しげな表情だとか、本心を見せない(見えない)ところとか…序盤ではそもそも、名前も「しづ」さんと呼ばれていてフルネームが分からない様にされていましたね。

この辺り、しづかさんが謎めいた存在に見えるのは、主人公の貴樹くんから見た目線で大人の女性がどう見えるのか、それを意識して描かれているからなのかもしれないなぁ…なんて思ったりもします。


そんなしづかさんに対しての貴樹くんの想いがどうなるのか…今の段階ではまだなんとも言えないところ。でもこの1巻の最後では貴樹くん、流れからしづかさんと一緒に喫茶店に行くことになって、そこで「しづかさんのブレンドが飲みたい」と伝えます。

喫茶店ユカリを昔のままにしておきたいと言うしづかさんだけれど、本当は何かを変えたいと思っているのかもしれない。そんな彼女にとって、貴樹くんのこの一言は動き出すキッカケとなるのかもしれないですね。


さて、この作品なんですが、ストーリー以外の部分で見逃せないのはやはりしづかさんの和装姿。これに尽きると思います。

思えばみやびあきの先生って、これまで数多くの全く異なる作品を描きながらも、一貫して自分の「好き」を描ききってきた作家さんだと思うんです。

その「好き」は和という一言で表せると思いますが、例えば「おにまん」では正に世界観そのものが和のファンタジー(だけどゆるい)という感じでしたし、「なでしこドレミソラ」では和楽器。

そして今回の「珈琲をしづかに」では和装姿、つまり着物。

みやびあきの先生と言えば同人誌でも「キモノ少女」なる冊子を出されているくらいに着物好きな作家さんなのはファンなら周知かと思いますが、この「珈琲をしづかに」のしづかさんの和装姿、先生のコダワリが出まくっていると感じます。

しづかさん、きちんと毎回違う着物を着て登場するのですが、どれも凄く素敵。着物と長襦袢、帯の柄の合わせだとか、そもそも着物姿のしづかさんの立ち居振る舞いに所作。これって着物が本当に好きでご自身でも着ている様な方じゃないと描けないと思うんですよね。

25ページのしづかさんの後ろ姿とか、帯のお太鼓の結び目やら中を通した帯締めがちらりと見えている辺り、本当に芸が細かい。

今、自分自身が仕事の関係上着物に接する機会があるので余計にそう感じたりもします。


作家さんご自身の趣味をきちんと反映させつつ、それでいてストーリーとして、漫画として面白い作品を描くのって本当に難しいと思うんですよね。でもそれをずっと貫いてきているという点でもみやびあきの先生という作家さんは本当に凄いなぁと、そう思います。


さて、「珈琲をしづかに」1巻。特典集めをしてきましたので以下に。と言っても今回、絵柄的には二種類しかなかったんですよね。

まず、モノクロのイラストカード。

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三洋堂書店のイラストカード。せっかくの和装姿、カラーで見てみたい気持ちもありますがモノクロイラストならではの良さもありますよね。シックな感じで凄くいいです。


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同じものをなぜかまんが王でも購入していたり…いやこれ、まんが王でサイン本抽選とかやってたのでつい…まあ、当たらなかったみたいですけど(涙


カラーイラストはとらのあなで。

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黄緑色の着物がとっても良い雰囲気。個人的にこういう色大好きなんですよね(緑好き)

それに紺の長襦袢…あとなにげに、コーヒーカップに描かれた絵もグリーンで色の系統がまとまっているのもとてもお洒落。更に奥にステンドグラスがぼやけた感じで見えるのが効いています。

みやびあきの先生のこういうイラストって、漫画のイラストとかじゃなくもう、一枚絵として綺麗に仕上がっていてホント眺めててため息が出ちゃいますよ…素敵…。


それと今回、みやびあきの先生からのプレゼントと言うか…期間限定でセブンイレブンプリントで描きおろしイラストを印刷出来るのでこちらもゲットしてきました。

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これ、切り抜いてペーパースタンドに出来るみたいですが…でも勿体なくてそのままイラストカードとしてポストカードケースにしまってありますw

それにしてもホント、柄や色の組み合わせがお洒落だなぁ…紫の着物に黄色の長襦袢、帯揚げも襦袢に合わせて黄色と、上手くまとまっているなぁ…。


そんな「珈琲をしづかに」、これから貴樹くんとしづかさんの物語がどうなっていくのかとても楽しみなところでもありますが、個人的には喫茶店に集う人たちの物語ももっともっと読みたいですね。

1巻にあった、上に書いた夫の命日に訪れる女性の話みたいな、ああいうお客さんのドラマを色々と読んでみたいなぁ…なんて思ったりもします。

あとは勿論、しづかさんの和装姿。これは絵的には絶対、みやびあきの先生ご自身が一番描きたいところでしょうから、2巻以降も素敵な着物姿を披露してくれることを期待しています!!


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