2010年2月・冬の北陸・旧型気動車と食の旅(7)
2010年 02月 28日 (日) 00:07 | 編集
- 大糸線キハ52との大切なひととき -

今日のお相手の、国鉄色のキハ52はキハ52-115。

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ところでこのキハ52-115、引退後に津山の方で保存されることが決まった様ですね。例え鉄路の上を走ることが無くなったとしても、形が消えずにその姿をずっと残し続けてくれる。それはとっても喜ばしいことだと思います。

特に、3両いる大糸線キハ52のうち、僕が今日こうして出会えて一両がそれに選ばれたと言うのは、なんだか運命的なものも感じ、尚更に嬉しく思います。


まだ出発まで間があるので、しばし写真撮影。

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こんなフェティッシュ(?)なショットも。


ところでこのキハ52、間近で写真撮っていて気がついたのですが、塗装など綺麗に施されていてもやはり顔中ところどころに傷など見られるんですね。長年走り続けてきた、その老兵の「証」とでも言うべき傷。


「こんなになるまで…頑張ったんだね」


そう声をかけながら眺めていたら、なんだか胸にぐっとこみ上げてくるものがあって…つい目から熱いものがこぼれおちてしまいました。まだ走り出してもいないのに…でも、これで最後だと思うともう、泣けてきてしまって…。


さあ、いつまでも感傷に浸っていても仕方ありません。そう、時は待ってはくれないのだから。


さあ、車内へと入りましょう。

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室内はセミクロスシート。冷房化改造などなされてはいるものの、薄いグリーンの化粧版に重々しい窓周りなど、オリジナルの雰囲気が色濃く残っています。同じキハ52でも、米坂線で走っていたのは車内がかなり綺麗に改装されていたのとは対照的です。


10時43分。僕の乗を乗せたキハ52は、ゆっくり、ゆっくりと走り始めました。エンジンを拭かせながら重々しく、しかし確実に加速し、雪景色の中を走って行きます。

ところでこのキハ52、昨日の朝に乗った高山本線のキハ58と同じく、DMH17Hエンジンを積んでいるんですが、こちらの方が車内によく音が響いてくる気がします。エンジンの唸りも、カラカラ…と言う軽快なアイドリング音も。


糸魚川を出て、最初のうちこそ平坦な地を走って行くのですが、やがて列車は山の中へと分け入って行きます。そして途中からはずっと姫川に並走する形になります。

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すっかり山岳路線の趣きに。以前大糸線に乗った時は春だったので、車窓にはその時観たのとはまるで違う風景が広がっています。真っ白な山々と木々、そして川…。そしてその銀世界の中をひた走るキハ52。外から見たらさぞかし絵になる光景なんだろうなぁ…。

事実、沿線の至る所にカメラを構えたファンの姿が見られました。しかしこの寒い中、よくずっと列車が来るのを待ち続けているよなぁ…。


キハ52は、老体にムチ打ちながらぐいぐいと山を登って行きます。エンジンの音も高らかに…。

素晴らしい車窓と素晴らしい車両。

…鉄道旅において、これ以上の贅沢はないでしょう。


そしてそんな贅沢を味わいながら、いつしか僕は眠ってしまってました…。

ああ…最後のキハ52だから、眠ってしまうなんて勿体ないけれど…でも、大好きな車両に揺られて眠る。これもまた最高の贅沢なのかもしれません。


糸魚川を出てちょうど一時間。11時43分に終点の南小谷に到着しました。

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隣には、中央本線からの特急車両が停まっています。


列車は、わずか6分の停車時間の後、49分に再び折り返しで糸魚川へと向かいます。僕もそのまま乗車します。

この南小谷では結構な乗車があり、行きの列車ではワンボックスに1人か2人だった乗車率が、今度は全てのボックス席がきちんと埋まる位になりました。乗客も「鉄」っぽい人ばかりじゃなく、地元の人やそれに大きなスキー板を持った人など様々です。


キハ52は、行きと同様にエンジンを精一杯に吹かせながら、雪景色の山々の中を縫うようにして走って行きます。何度も何度もトンネルを抜け、川を渡り…今までずっとそうしてきた様に。

これからもずっとそうしていく様に、そう思える程に元気な走りを見せるのだけれど、でもそれはもうきっと、適わないこと…。だから、最後だからこそ、悔いの残らない様、これまで以上に精一杯な走りを見せてくれているのかもしれません。



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12時44分。糸魚川へと戻って来ました。

僕の、キハ52との大切な大切な時間はこれで終わりです。


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ありがとう、キハ52。そして…さようなら。

キミがここを走っていたこと、僕はこれからもずっと…ずっと忘れないよ。


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