2010年2月・冬の北陸・旧型気動車と食の旅(9)
2010年 02月 28日 (日) 00:09 | 編集
- 旅の終わりは鍋で〆 -

西田幾多郎記念哲学館を後にし、七尾線に乗って金沢駅へと戻ります。

201002hokuriku_90

駅を出ると、なんだか巨大な門(?)みたいのが建ってて、なにやらちょっとカオスな様相を醸し出しちゃっている、そんな今の金沢駅w


金沢に着いた時点で時間は17時半。まずはここでちょっと土産を探しに行くことにします。向かったのは、駅から歩いてほんの数分のところにある「黒龍堂」さん。

201002hokuriku_91

九谷焼を専門に扱っているお店。以前に金沢を訪れた時もここで一つ杯を買っているんですよね。で今回も、どうせ金沢まで来たんなら何か記念に買おうかと寄った次第なワケです。

せっかくなので、自分用の杯だけじゃあなく、実家の両親にもプレゼント…と言うことで九谷焼の杯を3つ購入。そしたら二万円くらい使っちゃってました…wああ、最後の最後に思わぬ出費。

いや、この「黒龍堂」さん、普段使いの安い器から本当に目が飛び出る様な値段のものまで色々と取り揃えてあるんですよ。で、本当はもっと安いラインから探そうかと思ってたんだけれど…でもやっぱりある程度の値段するものの方が形も絵も綺麗なものが多いんですよね。

まあ、自分用のも両親へのプレゼント用のも、どちらも納得のいくものが買えたので良しとしましょうか。


時間はもういつの間にやら18時を回っていて辺りもすっかり日が暮れました。と言うワケでこの旅の最後のイベント、金沢の茶屋街での夕食を取るべく向かいます。

バスに乗って10分少々。向かったのは主計町(かずえまち)。

201002hokuriku_92

いかにも歴史のある老舗料亭、と言った趣の店ばかりがずらりと通りに並んでいるんですよ。

こんなところで飯食べたら一体幾ら取られるんだろう…と尻込みしてしまいそうになるんだけれどwでも、行っきまーす。


本日、僕が入るお店はこちら。鍋の専門店「太郎」さん。金沢と来ればこの店を上げる人も多いと言う、有名なお店なのでアリマス。

201002hokuriku_93


もうね、この店の門構えからしてヤバイ。「老舗」の匂いがぷんぷんします。僕なんかが入っちゃって大丈夫なの?と軽く不安になっちゃいますね。

…でも、ここまで来たら行くしかないです。と言うか予約済みだしねw(と言うかこちらのお店、基本的に予約してないと入れないっぽいです)


門をくぐると仲居さんのお出迎え。靴を脱ぎ、そのまま座敷へ案内されます。

201002hokuriku_94

たとえ独り客であってもこんな座敷へ通されます。これはなかなかに気分が良いです。


机の上には既に鍋の用意がされています。

201002hokuriku_95

出るのは鍋と突き出しが一品。ただそれだけ。他には何もありません。


201002hokuriku_96

鍋の具材はこんな感じ。魚が四種類。この日はタラにタイにフグ、それにカワハギでした、確か。それとカキにシラタキ、色々な野菜類…。魚介たっぷりの寄せ鍋と言った感じです。


そしてこのお店、鍋は全て、店の人が作って下さるんですね。客は座って、ただその様を見ているだけ。一切手を出す必要はありません。と言うかむしろ手を出しちゃいけないらしい。手を出すとお店の人に怒られちゃうと言う話も…w

仲居さんが具材を鍋に入れ、火加減を調整しつつ…。

その様を眺めつつ、突き出しをつまみに僕は日本酒をちびりちびりと。

201002hokuriku_97

食べ物のメニューは鍋オンリーなんだけれど、飲み物は勿論色々とあります。日本酒だけじゃなくってビールや焼酎、それにソフトドリンクも。でもやっぱり、冬の鍋と来れば日本酒でしょう。


待つことしばらく。出来上がりました。

201002hokuriku_98

こんな感じで、実~に綺麗に、美味しそうに盛り付けて下さるのです。



さて、お味の方はと来れば…。



ええ。これが美味しくないワケがないですよ。と言うかもう最高。

白身の魚は火がちょうど良い加減に通って、口に入れると身がサックリホロリと崩れ、そして種類ごとに違った旨みがじゅわぁっと口中いっぱいに広がっていくんですね。

カキはトロリととろける食感と、海そのものを凝縮したかの様な濃厚な味わい。野菜はシャッキリとした歯ごたえを残しつつ、大地の恵みをその味の中にしっかりと感じさせます。

そして何より、ダシが美味いんですよ。この鍋は特に付け汁の様なものは無く、鍋のスープをそのまま皿に入れて食べるんですけどね、このスープが本当に美味い。新鮮な魚介や野菜のうまみが溶け出しているのは勿論なんだけれど、大本のダシが非常に良い感じなんですよ。

透き通ったその汁の中に、ぎゅうっと旨みが詰まっています。決して派手で華美な味わいじゃあないんだけれどね、なんと言うかこう「滋味」とでも言うんでしょうか。しみじみ美味い、心に染み入る美味しさなんですよ。

真冬の雪国で、外は寒い中、こんな鍋で一献と言うのはたまらないですねぇ。


鍋はもちろん一回戦で終了…なワケもなく、合計で3回取り分けてもらえます。その全てを勿論仲居さん達がやって下さるんですね。客はひたすら飲んで食べるだけw

で、それもきちんとタイミングを見計らいつつ来てやってもらえるんですよ。早過ぎず遅過ぎずのちょうど良い加減で。なおかつ、せかされる様なことは決してなく、ゆっくりと食べさせてもらえます。


3回取り分けた後、キビ餅が鍋に入ります。そしてキビ餅を食べた後はお雑炊。

201002hokuriku_99

この雑炊がね…また美味いんです。ご飯と汁だけの雑炊。具は勿論、卵も薬味も何も入っていないんだけれど、でもしみじみと美味い。たっぷりの汁を残したままの状態でご飯を投入し、何度も汁を吹かせながら作るんですね。その過程で汁の旨みが全部ご飯に吸い込まれると言うワケなんです。


いやはや…満足満足。旅行の最後を飾るのにふさわしい食事でした。


で、気になるお値段はと言いますと…鍋と、それにあとは日本酒を三合飲んだんですが、合計でしめて6500円ほど。意外と高くないでしょ?w

このお値段で、美味しい鍋と金沢らしい情緒とを味わえるのならむしろ安いもんだと思います。金沢の夜を愉しむには良い店だと思いますよ。…ただ、鍋は自分の思い通りにやらなきゃ気が済まん!!と言う鍋奉行の人にはオススメ出来ない…かな?w


*************************************************


大満足の食事を終えて帰途につきます。

帰りも、行き同様に寝台特急「北陸」のソロ。金沢駅にやってきた「北陸」は、なんと急行「能登」と並んで停まってくれました。

201002hokuriku_100

もうこの光景が見られるのもあとわずか…。

また一つ、古き良き旅情を味わわせる鉄道旅のワンシーンが消えていく。時代の流れだから仕方が無い。そう言ってしまうのは簡単だけれど、でも本当にそういって切り捨てて行ってしまって良いんでしょうか…。


今回の旅、大糸線キハ52に乗りに行った時に、糸魚川の赤レンガ車庫を眺めながら思ったこと。それを旅の最後の最後にまた考えてしまうのでした。


でも…消えていくものがあるのは悲しいことだけれど、だけど例えこの世から形が無くなってしまっても、きっとそれは多くの人々の記憶と共に生き続けるのだから…ならば僕は、その記憶の生き証人の一人として、これからも旧型気動車達や、鉄道遺産の数々を追って旅を続けるのでしょう。


Comment
この記事へのコメント
お疲れ様でした。
ほんっと、どれもこれも美味そうですね!ちくしょう!
このシリーズは今後深夜に見ないようにしますw
北陸はまだ行ったことがないので、非常に興味深く読ませていただきました。
鉄道にはまだ詳しくはありませんが、こうしてローカル線に揺られて雪景色の中を旅するのも
すごく楽しそうで憧れてしまいます。一度やってみたいなあ。
しかし寒そうだなあ。でも美味しそうだしなあ・・・。
2010/ 03/ 09 (火) 22: 10: 54 | URL | mal2 # -[ 編集 ]
>mal2さん
いつも読んで下さってありがとうございます。
今回の旅は、自分の中でも「グルメ」がテーマの一つにあったので、多分前回の旅よりも夕食はクオリティ高かったと思います。
確かに深夜に読んでしまうと食欲を刺激されて危険だったかもしれません…。
でもその反動か、昼食は2日間とも簡素でした…1日目が駅ソバに、2日目なんて電車の中でお菓子と菓子パンですからw

北陸は実を言うと僕も、一昨年まで行ったことなかったんですよ。でもイイところですよ。
前回は初夏に行ったんですが、今回の真冬・雪景色の方がずっと情緒ありましたね。
寒い時って皆つい、暖かい地方へ行ってしまいたくなるもんなんですが、でもそこをグッと堪えて、敢えて雪国とか行ってみると良いですよ~。
冬の秋田や青森なんかも最高でした。
寒いのは確かに寒いんですが、でも防寒肌着にダウンに手袋・マフラーとかで防備していけばなんとかなるもんです。
室内や列車内はむしろ、暖かい地方よりもずっと暖房効いていることが多いですし。
2010/ 03/ 09 (火) 22: 53: 23 | URL | オウジー # -[ 編集 ]
コメントを投稿する
URL :
comment :
password :
secret : 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright (C) 酒と音と鉄旅と。 all rights reserved.
designed by polepole...