2012年2月・KTRとズワイガニの旅(5)
2012年 02月 28日 (火) 09:33 | 編集
- 酒鮮の宿まるやすでの一夜 -

北近畿タンゴ鉄道の「けいおん!」気動車・雪の天橋立・タンゴディスカバリー号と堪能してこの日の予定は全て終了。いや…一番の大目的がまだ残っています。

そう、それは日本海の冬の味覚・ズワイガニ(松葉ガニ)を味わうこと。


さあ、まずは宿へチェックイン。

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今回お邪魔したのはこちらのお宿。「酒鮮の宿まるやす」。

一見、どこにでもある普通の民宿と言った趣きなのですが、ところがそうじゃない。「酒鮮の宿」となんとも変わった名前が付いていますが、「酒鮮」とは「酒仙」と「新鮮」とを掛け合わせた造語とのこと。

僕はたまたま、天橋立で良さそうな宿をネットで探していて見つけたのですが、宿のページを見るにこの宿、酒に詳しいこだわりのご主人(酒匠の資格所有)が、地元の美味い魚に美味いお酒を合わせてくれる…と、酒も魚も大好きな僕としてはこれはもう行ってみるしかないじゃありませんか!!


まずは中へとお邪魔します。

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民宿だけあってこじんまりとした造りですが、しかし非常に綺麗に手入れされています。手前にある本棚には漫画本がびっしり。滞在中の楽しみにどうぞと言うことですね。


お部屋はこんな感じ。

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純和室ですね。コタツがあると言うのがまたいい感じ。なんと言うか、非常に「正しい日本の冬の部屋」そんな様相の客室です。

ちなみに僕の泊まったこの部屋、なんとトレインビューの部屋。窓を見るとそこはちょうど天橋立の駅。たまに列車の汽笛の音なんかが聴こえてきて…なんともいい部屋じゃないですか。

また、僕が部屋に案内された時、部屋にはすでに暖房が効かせてあって、ぽかぽかととても暖かくなっていました。雪の降り積もる寒い中、こういう心遣いは本当にありがたいことだと思います。


さて、お楽しみの夕食…の前にまずはお風呂へ。天橋立と言えば温泉もあるところですがこの宿には内湯はありません。その代わり、歩いて1分のところに「天橋立 智恵の湯」と言う公共の温泉施設があるのでそちらを案内されます。

宿で割引券を頂いてそちらの湯へ。露天風呂へと入ってみるとこれが実にキモチいい。

風呂の端っこへ行って湯に横たわって顔だけ出して浸かっていると、顔に冷たい雪が当たるんだけれど、身体は湯の中で暖かくてそこへ顔に当たる雪がほどよくクールダウンしてくれて…ああ、いつまでも浸かりたくなってしまいますねえ。

またこの温泉。駅間近と言うこともあって列車の行きかう音が聴こえます。気動車のアイドリング音を楽しみながら浸かる露天風呂。なんとも素晴らしいじゃないですか。


温泉を満喫し、再び宿へ。さあ、いよいよお待ちかねの夕食です!!


まず、館内の食事処へと案内されるんですが、ここがなんとも良い雰囲気。

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カウンターの前に一列に並んだ席はほりごたつ風になっていて、足をおろしてゆったりとくつろげる様になっています。カウンターの奥には様々な日本酒や焼酎の瓶。こじゃれたダイニングバーの様な雰囲気で、とても民宿の中にある施設と思えません。

ここで宿のご主人が登場。今日の客は僕だけなのか、ここからは宿のご主人とサシの勝負です!!(ってなんか違うかそれw


あらかじめ宿の方へ日本酒好きなことを伝えておいたからか、ご主人の方からすぐにお酒は日本酒で良いかと聞かれます。答えはもちろん、イエス。

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まず出されたのがこちら。「竹泉 木桶仕込」(名前はややうろ覚え)。果実香があって風味豊かで旨みたっぷりなんだけれど爽やかで飲みやすくって…非常に美味しいお酒だったことを覚えています。


そして出される料理の数々。僕がお願いしておいたのは「松葉がに&ブリしゃぶプラン」と言うやつです。カニだけじゃあなく、冬の日本海を代表するもう一つの味覚・ブリまで一緒に楽しんでしまおうと言うなんとも贅沢なプラン。

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まずはお造り。この日はアジとスズキ、サザエに甘エビが出て来ました。

どれも新鮮で旨みたっぷりなのは言うまでもありません。また、スズキもアジも普通のお店で出されるよりも随分と大き目に切ってあるんですが、これが野趣あふるる味わいを醸し出してて実にたまりません。出されたお酒「竹泉」との相性もバッチリ。


そしてこちらがメインの松葉ガニ。

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どどん!!と一杯きました。もちろん生です。これを今から、その部位ごとに一番みあった美味しい食べ方で、ご主人が調理して食べさせて頂けると言うワケです。


まずはカニのお刺身。

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ハサミの部分を刺身で食べるんですが、これが甘い。甘いの!! それも決してくどかったりべとべとしたいやらしい甘さじゃあなく、サッパリと甘い。まるで新鮮な果物みたい。フレッシュでジューシィなんです。

もちろん生臭みなんて微塵もありません。「えっこれって海産物だよね…」と唸ってしまうほどに甘くって、口の中でとろりさらりととろけます。


続いてカニしゃぶ。

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カニの足の身を鍋のだしにさっとくぐらさせて食べます。恐らくズワイガニでは一番ポピュラーな食べ方なんでしょうが、僕はこれまで食べた経験がありません。
と言うかズワイガニ自体そんな食べたことないですし。

これがまた、先程の刺身とは違った感じでいいです!! もちろんハサミの部分と足と言うことで部位の違いによる味の差もあるんでしょうが、ちょっと加熱したことで旨みが活性化されて、そしてこのぷりぷりとした食感がたまりません。

火を通す時間を変えることで味に変化が生まれるので、色々試しながら自分の一番好みのしゃぶしゃぶ具合を探す。そんな楽しみも味わえます。


ここでカニをちょっと小休止してブリしゃぶへ。

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脂のたっぷりと乗った寒ブリ。これは以前、富山でも味わったことありますが、やはりブリのしゃぶしゃぶは美味いですね。口の中でトロリととろけます。


日本酒はご主人におまかせであれこれとチョイスしてもらいます。どの日本酒も大変に美味しい。その旨を伝えると「料理に合わせたのをお出ししているから」と。なるほど…「酒鮮の宿」納得です。


カニ味噌。

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たっぷりのカニ味噌を甲羅に入れてじっくりと焼き上げています。お酒が飲める人の場合、別料金にはなるんだけれどご主人おすすめの純米酒を注いで甲羅酒にしてくれます。

もちろん僕はお願いしました。純米酒の持つ確かな米の旨みとカニ味噌の濃厚な海の恵みの味とが合わさって…ああ!! これが口福と言えずしてなんと言えようか!!


箸休めに野菜と子持ちイカの炊き合わせやカニみそ豆腐など。

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炊き合わせが優しいお味で、それでいて日本酒に合うんだからもうたまらない。


この他にもカニのホイル焼きだったり鍋があったり…ボリュームも凄いのですが、美味しいからこれがするすると食べれてしまうんですね。


締めにはもちろん雑炊。

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程良くカニのお出汁が出て、それでいてさっぱりと上品。一杯まるごとを色々食べて思ったのは、ズワイガニと言うのは大変に上品で繊細な味わいのカニだなぁ、と。

僕は愛知の三河の出と言うこともあって、実はカニはワタリガニ(ガザミ)は結構頻繁に食べているんですよ。で、その濃厚な旨さを知っているから、カニはワタリが一番とそう思っていて、正直ズワイなんて高いだけだとバカにしている部分もありました。

でもそれは大きな間違いでした。ワタリが美味いのも勿論だけれど、ズワイガニにはまたそれと違った旨みがある。良さがある。この上品な美味しさはこれは他のカニでは決して味わえないもの。

それを知らなかったのはきっと、「本当のズワイガニ」を食べたことがなかっただけ。ああ、それなのにズワイなんて…と思ってたなんて、僕は何と言う井の中の蛙だったのだろう!!


雑炊を頂きながら、お酒の方も締めの一杯。ご主人が出して下さったのが、十年物だかのいわゆる古酒と言うヤツで、色がコハク色に色づいていて中にオリが浮いています。

飲んでみるとカラメルの様にトロリとして…日本酒と言うよりはまるで紹興酒。でもそれよりももっと甘くて濃厚で深い味わい。いやはやこんなお酒があったとは!!

しかもこのお酒、純米ではなく「本醸造」だったんですね。当然僕は疑問に思って尋ねます。お酒に詳しいご主人が本醸造とは…。

それに対してご主人、本醸造には本醸造の良さがあることをきちんと説明して下さいます。今の世の中、お酒好きな人は純米一辺倒になっているけれど、実はアルコール添加にも一理あることをしっかり、分かりやすく教えてくれるんですね。

ああ…そうだったのか。目から鱗が落ちた様な、心のもやが晴れた様な気分。

これはきっとお酒だけのことじゃないんだろうけど、物事にはなんでも二つ以上の側面があるんですよね。その片側だけを見て全てを知った気になってしまうのは愚かなことなんだと、そう気付かされました。


しかし、ずっと以前に山梨のレストランでソムリエさんにお相手して頂いた時にも思ったのですが、やはりお酒に詳しい方・専門家の方とお話するのはとても楽しいし勉強になります。


こうして、美味しいお料理と美味しいお酒、素晴らしいお話を頂きながら天橋立の夜は更けていくのでありました。


・2012年2月・KTRとズワイガニの旅(6)へ→


Comment
この記事へのコメント
通りすがりですがコメントします
丹後のズワイガニ…、市場では『間人蟹』と呼ばれているズワイガニの中でも特に逸品と言われている蟹ですね。寒鰤も美味だったでしょうね。

一度天橋立方面に旅行して、間人蟹を味わってみたいと思っているんですが、交通の不便さと、間人蟹の高価さのためになかなか『行くぞ!』という気持ちになれないでいます。

ズワイガニは福井県の越前町では何度か味わっているのですが。
2012/ 05/ 10 (木) 22: 30: 26 | URL | &oh # dlg/xXMc[ 編集 ]
>&ohさん
訪問とコメントありがとうございます。
丹後のズワイ、美味しかったです。寒ブリともども冬の日本海の味覚を堪能!!でした。

確かにあっちの方は不便は不便ですね。とは言え、京都・大阪からであれば特急で一本で行けますし、機会があれば是非一度訪れてみて下さいな。

雪景色の天橋立も美しくて素晴らしかったです。
2012/ 05/ 12 (土) 00: 46: 59 | URL | オウジー # -[ 編集 ]
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